七十二候をおいかけて

日本の四季をさらに細かく区切った七十二侯。ひとつずつ知っていきたいと思います。

可能性は無限大【4.土脈潤い起こる】

 

土脈潤い起こる

 

◆雨水 2月19日~2月23日
◆初侯:土脈潤い起こる(どみゃくうるおいおこる)
◆侯のことば:獺魚を祭る(かわうそうおをまつる)
元々、雨水の初侯の名前は「獺魚祭」でした。かわうそは魚をよく捕まえるけれど、川辺などに魚を並べてなかなか食べようとしないのだそうです。その並べている姿がお供え物をしている姿のようだということでその季節の名前が生まれたそうです。「獺祭」といえばみんなだいすきなお酒!という印象しかありませんでしたけど、そこが由来なんだと知ることが出来ました。
◆侯の野菜:春キャベツ。
キャベツの旬は年に三回ありますが、そのうち2月~6月にかけて収穫されるものが春キャベツだと呼ばれています。冬のぱきっとした風味がたっぷり感じられるキャベツも美味しいですけど、春キャベツのふんわり柔らかい甘みもたまらないですよね。

***

可能性は無限大

 

節約したいときの野菜の味方といえば「もやし」が王様だと思うけれど、キャベツもなかなかの位置にいるのではないかな、と思っている。

今年の冬は気軽に…とは少し言い難いかもしれないけれど、比較的ほかの野菜よりも安価でたっぷりまるまる買うことが出来る。

そして使い方は無限大だ。

葉の柔らかい部分はざく切りにして炒めるだけでも美味しいし、ひき肉と玉ねぎでつくったお団子をくるんっと巻いて煮込んでスープごと口に入れて全部の旨味をいっぺんに味わって口のなかで幸せをひとりじめをしても許してほしい。

真ん中くらいの芯と葉の混ざり合った部分は一口大に切って、塩昆布とちょっぴりのごま油とよく揉むこめば、おつまみとしても箸休めとしても完璧になる。

芯の固い部分は少しだけ茹でてスティック状にしたら、味噌をベースにしたソースにつけて食べれば食感もまるごと楽しむことが出来る。

もちろん、部位なんか気にしないで一枚ずつはがして豚肉と交互に並べて蒸してポン酢をさっとかけたらもうそれだけで最高の贅沢を味わうことが出来る。

…ほんのちょっと考えただけで、キャベツを使った料理なんて山のように出てくる。

冬でもいつでもキャベツは美味しいけれど、それでも余すことなくまるごと美味しいのは春キャベツなのかなと思っている。

ふわふわとした柔らかい甘みは余計な調理をせずにそのまま食すことが、寒い冬を乗り越えて美味しい春を迎えてくれた野菜に対する最大の敬意の表し方のような気がしている。

冬は寒くて台所に立つことが億劫で料理も出来る限り簡単なものを、と、なってしまいがちだけれどもう少しあたたかくなったら、キャベツやほかにも旬を迎える春の野菜たちをたっぷり使ったご飯を作ろうかな。